2016年御翼9月号その3

                                         

Under New Management(経営者が変わりました)

 

 「英国における重犯罪の五分の四は、みな過度に酒を飲んだ結果起こったものである」「ニューヨークの警察は酒のあるために存在しておるのである」。ベーコンは、「この世に行われるいっさいの犯罪を合わせても、酒に酔うことくらい多くの人間を殺し、多くの貧窮をかもしだすものはない」といい、グラッドストンは「戦争と、疫病と、飢饉と、この三つのものを合わせても、酒ほどに人の命をとるものはない」と言った。(山室軍平『禁酒のすすめ』より)
 酒に酔えば、人の魂から聖霊が出て行く。そのときには、正しい導きは得られず、神の祝福はない。それ自体が、神の裁きである。山室軍平(日本人初の救世軍士官)は、禁酒のためには、これら酒の害を普段から意識し、聖霊によって満たされ、導かれる楽しさを知ることが秘訣であるという。
 救世軍とは、19世紀にイギリスの牧師ウィリアム・ブースが始めた福音伝道と福祉活動の両方を行う団体であり、世界一〇三カ国で救霊運動、社会福祉事業を運営している。アメリカの救世軍の働きによって救われたある男性の話である。彼もその妻も文盲であったが、男性は毎週日曜日、喜んで救世軍での礼拝に出席していた。ところがある日曜日、彼が落胆した様子で帰宅する。妻がどうしたのかと尋ねると、彼はこう言った。「救世軍に集まる人たちは皆赤いセーターを着ているんだ。でも僕は赤いセーターを持っていない」と。すると妻がすぐに赤いセーターを編んであげた。翌日曜、夫はそれを着て救世軍に出かけたが、やはり落胆した様子で帰宅した。妻が訳を聞くと、皆のセーターには黄色い刺繍がしてあることに気づいたという(救世軍のシャツには、そのモットーである血と火❘Blood and Fire❘と書かれている)。そこで妻が何か刺繍をすることになったが、二人とも字が読めない。そこで妻は、家の向かい側の店に出ていた甲板からある文字を刺繍した。次の日曜日、夫が救世軍から帰宅するなり妻は聞いた。「どうだった? 皆、セーターを気に入ってくれた?」すると夫は答えた。「大変な人気だったよ。中には自分たちのよりも僕のセーターの刺繍の方がいいとまで言ってくれた」と。妻が読めもしない看板からコピーした文字は、Under New Management(経営者が変わりました)であった。
 私たちが救われてキリストに従うとは、まさにこのことなのだ。私たちの人生の経営を主にお委ねすることである。それが聖霊によって導かれる人生である。教会の二軒隣りのJSハウス一階のテナントが、六月で契約を解除して出て行った(理由は、陽当たりがないから)。そこで、矯風会JWCTU(日本クリスチャン女性禁酒同盟)会員であるKさんが夫婦で経営する不動産管理会社に、テナントを募集していただいた。入居希望者を慎重に審査してくださり、丁重に何軒かの申し込みを断りながら、募集を続けた。八月に入って、JSハウス周辺の水道管工事を請け負うことになった業者が、向こう一年間、事務所として借りたいと申し込みがあった。契約は事務所使用となるので、個人の契約にはなかった敷金を三カ月(約27万円)預かることになった。明日(8/15)から10日間、エルヴィスゆかりの地(米国テネシー州)と、カナダ(首都オタワ)で行われる矯風会世界大会に行く私にとって、JSハウスのテナントが見つからないまま出掛けるのと、帰国した頃には、現金27万円が振り込まれるのとでは大違いである。キリストに従う経営をするKさんによって、この祝福はもたらされた。悔い改め、キリストに従ったとき、人生は大きく変わり、素晴らしい出会いがあり、神の国のために物事を実現できるように導かれるのだ。私たちも、人生を主イエスにお委ねしよう。
 


バックナンバーはこちら 御翼一覧  HOME